●滝行とは
滝行ブーム到来といっても
よい程、最近は滝行をする方々が増えてきました。空手道場の皆さん。武術家の皆さん、自然との一体感を求める皆
さんなどなど・・・これまでの滝行とは違う立場で行う方々も増えています。 滝行の科学動画
もともと滝行は日本古来の禊(みそ
ぎ)の方法のひとつ。罪咎穢れ(つみ・とが・けがれ)を祓う(はらう)ために、人生の節目に行う「行」(ぎょ
う)。また修験道(しゅげんどう)の修行方法のひとつでもあります。修験道は修行をして結果を出すという、山岳
で厳しい修行を行う宗教で「役の行者」(えんのぎょうじゃ)が開祖となっています。修験道は弾圧を受け、現代で
は神道や密教の中で伝統を伝えています。修験道の修行の中でも、冬の滝行は素晴らしい修行です。
洒水の滝では
「文覚上人」が修行して様々な成果を残しています。現代でも100日滝行、60日間断食滝行、千日滝行が洒水の
滝で行われました。滝の守り神である不動明王が現れて力を授かったなど体験談には事欠きません。
●台風、大雨のときの滝行
は危険です
洒水の滝は現在崖崩れのため閉鎖されていますが、閉鎖前には滝行場として有名でした。閉鎖前の台風接近中の日の事です。初参加の方を連れ
て指導員と6名で滝に向かう途中すれ違った、1000日滝行中の滝の下の旅館のご主人とお弟子さんの方が、「今日はちょっ
と危ないから気をつけて下さい」と、声を掛けて下さいました。実際滝の水がかなり増水していたので早めに出てき
ましたが、その4時間後に鉄砲水が洒水の滝と道路を襲い大きく崩れたのです。滝の下にある旅館の一部とコーヒー
ショップも川の中に飲み込まれました。
当然洒水の滝は立ち入り禁止になりました。もし、鉄砲水の発生が4時間早
かったら巻き込まれていたでしょう。「滝に入る時は守られているんです」と、滝の下の旅館のご主人が言ってはい
ましたが、台風の前後の滝行は危険だと言うことを思い知らされました。
幸いなことに夕日の滝は影響が無かったの
で、夕日の滝で滝行を行うになりました。
●夕日の滝の水量 台風、大雨警報時は注意
高さ23メートル、幅5
メートルと言われている夕日の滝ですが、台風や大雨の時には、杖にしている竹の棒が折れるほどの水量・水圧とな
ります。滝つぼにある大きな岩も簡単に動き、深い所では2メートルほど水中の砂利がえぐられたり、逆に土砂が流
れ込んで浅くなったりします。つまり、台風や大雨の時には水だけではなく、土砂も一緒に落ちてくる、と言うこと
なのです。もし中心部に入れば、圧倒的な水量・水圧に吹き飛ばされ、どこに流されてしまうか分からないでしょ
う。それ程の勢いなのです。端の方に入った時の事です。ある参加者の方が掴んでいた竹の棒が吹き飛ばされて折れ
たのです。その時は気がつきませんでしたが、次の日、あまりに痛むので病院へ行ったら、親指を捻挫していたそう
です。
●冬の滝行は経験ある指導
員なしでは危険です
冬の滝行は経験のある指導
員について行わないと初めての人には危険です。想像以上に過酷なものですが、ほぼ全員がやってよかったと感想を
寄せています。冬の滝行は一度の経験では理解はむずかしい。無我夢中で何がなんだかわからないうちに終わってい
るというのが実際です。滝行の危険については冬の滝行を何度も経験してはじめてわかるものです。映像や感想を見
て滝行の危険を言うのはナンセンスです。私は10年以上週に数回の滝行に参加する中で入り方を間違えなければ危
険はないと確信しています。確信を得るまでに5年はかかりましたが。
●冬の滝行の入り方注意点
安全に滝にはいるためには
コツがあります。もちろん滝行を行うときには入る人にコツを教えます。コツを教えて入れなかったことはありませ
ん。むやみやたらに滝にはいるわけではありません。水温の細かな変化も水圧の変化も指導員は体感でわかるように
なっています。その人の目的、体力、健康状態、精神状態に応じて入り方を変えています。いくつか注意点をあげま
す。声を出す。気合を入れる。毛穴を閉じる。呼吸に惑わされない。入っている時間は
正確に計測して指示をする。など。指導員はその人に適した時間で出るように指示する。
●限界まで入るとどうなる
か
体力、経験に合わせて90秒間が標準ですが、慣れてくると長くはいりたくなります。
水温2度以下の滝に入ると
冷たさは感じないが身を切るような刺すような痛みがある。息がつまって苦しいので、出ようと思うが我慢している
うちにいきなり静寂につつまれる感覚。入りっぱなしになると、意識は遠のき滝の中にいるという実感はなくなりそ
のまま時間が経過していく。気合が入っていればそれでも出ようとする意識は働くが体は硬直して動けない。パニッ
クの危険があるので、気合の入った指導員がついていて初めてできることです。滝の中で立ったまま固まっているの
で、指導員は空手着をつかんで滝から出します。しばらくすると意識が戻ってきて自分で歩けるようになります。意
識が遠のくまでの時間はそのときの体調や気合の入り方にもよるが条件が同じなら体脂肪に比例する。体脂肪が30
パーセントなら約15分。
●低体温症 心肺停止まで
の時間
水温1度の場合、水につか
りっぱなしでは40分で心肺停止になると言われています。もちろん個人差があります。気合が入っていればもちこ
たえられます。ただし、出た後に低体温症になる場合があります。低体温症になると軽いものでは呼吸が苦しく動けなくなりますので、お湯やヒーターで温まると回復します。重いと体が動かなくなり意識も薄らいできます。低めのお風呂につかるなど数時間の休息が必要です。
●夕日の滝の水温
北向きで日が当たらず標高
が450メートルなので、その分気温は低い。早朝、深夜は気温がマイナス5度くらいにはなる。滝に入る時間は夏
は午前10時、冬は午前11時と決めている。その時間で最も水温が低かったのは摂氏0.5度。年間の水温の平均
を見ると、1月4度、2月2度、3月6度、4月8度、5月12度、6月14度、7月20度、8月22度、9月
20度、10月14度、11月10度、12月7度。くらいになります。もちろん滝は自然のもので水量、水温、気
温は刻一刻変化し、年により違います。
●滝行で憑依される心配に
ついて
経験にもとづいて言えるこ
とは、これまで憑依されたという現象は見られません。人間は想像力が豊かですからエクソシストにでてくるような
霊現象を想像していかにも本当に起こるように感じてしまうことはあると思います。またオーブと言われている写真
に霊が写ると言うようなこともレンズの癖や水滴によるものです。滝の前では細かい水滴が乱舞しています。光が水
滴にあたると大小さまざまな玉が写りこみます。禊(みそぎ)で落とすものは憑依されたものではなく、自己の中に
ある罪咎穢(つみとがけがれ)です。憑依されたと思い込みお祓いなどするとかえって症状が長く続いたり、別の障害が出ることもあります。自然にまかせることがベストです。
●滝行の後、頭痛や肩こり
などがひどくなることもありますが
冷たい水に当たると一時的
に血行が阻害され痛みがひ出るわけですが、それを霊障害などというのはもってのほかです。
浅間大滝でテレビ撮影の指導がありました。時間が押し、足腰が冷えて肉離れを起こし、神経痛になったことがあります。そのときだけ痛みが出たのは何かあるのかとも思いましたが、数か月痛んで自然になおっていきまし
た。参加者の中には一週間頭痛が続いたり体調が悪くなった方もいます。だからと言って重大な病気にかかったということはなく、病院で検査をしてもなにもでなかったという報告をよく受けます。その後は体調がよくなったとも報告があります。
頭痛の原因として考えられるのは、睡眠不足や疲労がたまっていたときに冷たい水に冷やされ毛細血管が収縮したまましばらく戻らないということもあります。その結果内臓にも影響が及び吐き気がおこる。90秒冷たい水につかっただけで重大な病気になることはないと思います。気合を入れて、気を抜かないようにすることです。
くれぐれも滝行の前日に深酒、夜更かしなどしないようにですね。
激しい頭痛が続いてMRI検査を受けたという話も聞きますが、結果は異常なしということです。
注意としては入りはじめは頭を避けて肩、背中などで水を受ける。しばらくしてから頭に直接受ける。少しでも冷たい、衝撃以上の痛みがあればすぐ出る。決して我慢しないで慣れさせるようにしてはいる。
●湘南滝行の会の活動
2003年から洒水の滝で
滝行を行ってきましたが、洒水の滝が閉鎖になり、夕日の滝で滝行を行うようになりました。
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